10年近く勤めたB2BのSaaSプロダクト事業会社を退職します

Cover Image for 10年近く勤めたB2BのSaaSプロダクト事業会社を退職します
monotalk
monotalk

はじめに

約10年間勤めたB2B SaaS企業を退職することにしました。最終出社日は2025年1月31日で、1か月の有休消化をして、2025年3月1日から次の会社で働きます。この記事では、退職の経緯や、在籍中に得た経験、今後のキャリアについて共有したいと思います。

会社での経験

  • 入社前

    10年間受託開発の会社で、Javaのバックエンドエンジニアとして開発業務に従事していました。

  • 入社後

    2015年からは現職で働いていました。

    • 2015年-2018年 エンドユーザーが利用する外部向けプロダクトの開発業務

    入社して、4年間は外部向けプロダクトの開発業務に従事していました。これから複数サービスを展開していくという状況で、プロダクト横断機能の開発担当として、テックリード、プロジェクトリーダー的な立ち位置で開発パートナーさんのサポート、マネージメントをしたり、APIのIF設計、ER図を作るといったウォーターフォール開発でいうと、設計を主に担当していました。

    • 2019年-2020年 新卒ITエンジニアの研修担当

    プロダクト開発と兼務の形で、新卒ITエンジニアの研修担当として、研修カリキュラムの作成、研修コンテンツの作成を担当しました。

    • 2021年-2022年 社内プロダクトの開発業務、テクニカルサポート業務

    部署異動して、社内プロダクトの開発業務に従事しました。エンドユーザーの契約管理、利用料金の管理を行う社内プロダクトで、社内の業務フロー設計と各部署との折衝、設計を担当していました。後半の1年は、テクニカルサポート業務の担当になり、ユーザー向けへの問い合わせの回答や、問い合わせに関係する不具合の改修を担当しました。

    • 2023年-2024年 新しいプロダクトの開発業務

    既存プロダクトを刷新することになり、その目的で発足した部署に異動し、アジャイル開発|スクラムの推進を担当しました。2チームのスクラムチームのチームビルディング、スクラムイベントの支援、開発プロセス文書の作成やコードレビューを行いました。

転職活動の統計情報

今回の転職活動の統計情報は以下になります。正直、計画的に進めた感じではないですね。。

  • カジュアル面談
    3社

  • 選考に進んだ会社
    2社

  • 内定を頂いた会社
    1社

ちゃんと転職活動をしたという気持ちはなく、もう少し「転職活動するぞ!」で気持ちで受けても良かったのかなとも思います。偶然ご縁があったという気持ちが強いです。

転職決定までの流れ

2020年くらいから継続的にカジュアル面談は実施しており、その温度感の高低はありましたが、転職を決定するまでの過程は以下のような流れでした。

  1. ロールモデルとなる人や関わりの深いEMが辞めて、ちゃんと転職活動開始

2024年に自分がロールモデルにしていた人や、関わりの深いEMが辞めてしまいました。時系列としては、ロールモデルが辞める→関わりの深いEMが辞める、となります。 EMが辞めた後に、転職サイトの転職意欲を変更しました。時期的には2024年9月くらいです。

  1. エージェントの人と話して転職軸の整理

スクラムマスター・EM(スクラムマスターのLevel2〜3)職で組織や開発プロセスの改善ができること、という軸はあり、そのあたりの深堀りや壁打ちをサポート頂きました。

  1. カジュアル面談

エージェントから公開求人、非公開求人を紹介頂き、数社カジュアル面談を設定しました。転職先のカジュアル面談では、CTOの方と人事の方と話し、事業内容に興味が持てたので実際に採用面接に進んでみようと思いました。

  1. 採用プロセスを進む
    採用プロセスは以下のような流れでした。

    1. ワークサンプル
      要求定義に対して、デザインドックを提出する課題を解きました。
    2. 1次面接
      ワークサンプルに対するディスカッションをベースにした1次面接でした。
    3. 2次面接
      働き方や仕事の取り組み方といったことの質疑応答ベースでの面接でした。
    4. 最終面接
      CTOとCEOの方と人事の方、合計2時間30分の面接で、質疑応答ベースでの面接でした。
  2. 内定を頂く
    最終面接で手応えがあまりありませんでしたが、内定を頂くことができました。 オファー面談で条件面の説明と、別途CTOの方から業務の説明を実施頂きました。

  3. 現職で条件面などの相談
    現職に残るか、転職するかは迷っていたので、上司と条件面や現状の問題点の相談をしました。それによりすぐに上司が動いてくれ、現職に残るか、転職するかは迷っていました。

  4. 転職先のCTOの方と会食、再オファー
    エージェントから連絡があり、CTOの方と会食、ディスカッションをした後に、後日再オファーを頂きました。再オファーによりアサイン予定の役割の変更と、年収UPがありました。

  5. 現職に残るかどうかの判断
    総合的に判断するため、「斜に構える、構えない」を使ってどちらが望ましいか、1週間程度考えて、最終的に転職することにしました。時期的には2024年12月くらいです。

何が転職の決め手になったのか?

転職の決め手になったのは以下の5点です。

  • 給与テーブルの水準が高く年収が上がる
    年収が上がり、そして、管理職から非管理職になるため、残業代が支給されるようになります。確定拠出年金の有無、見込み残業時間の考え方、1日の所定労働時間の違いや福利厚生などもあり、単純な比較が難しいのですが頑張って比較しました。

  • 解決する問題領域を変えたかった
    転職先ではメインの言語がPythonになります。以前からAI、機械学習には興味があり個人的にそれなりの時間を使って学習を進めていましたが、業務で利用する機会がなかったので、そのギャップを埋めたいという気持ちがありました。

  • 組織アジャイルの対象範囲の広さ
    転職先はJTCのDX推進子会社という位置付けです。立場的なやりづらさもあるかも知れませんが、アジャイル推進の対象範囲が企業単体ではなく、グループ企業全体になり、可能性を感じました。

  • 選考フローの長さ
    今回の転職活動で気にしていた点が1点あり、それは選考フローが長い会社を受けるという点です。現職は以前、中途採用を面接1回で採用をしており、私もその時代に入社した人間でした。 勿論パフォーマンスが高い人もいるのですが、中にはそうではない人もそれなりの確率で存在し、教育に苦労した経験がありました。この辺りは、選考フローの長さである程度解消できるのでは?という仮説が自分の中にあり、採用プロセスが長いところだけ受けようと思っていました。転職先は、新卒、中途ともに、選考フローが長く、人材の能力ベースラインが高そうというところに好感が持てました。 ※現職も現在は、採用プロセスが変更されて問題が解消に向かっている気がします。

  • CTOと話が合いそうだった
    カジュアル面談から会食後のオファー面談までかなりの時間CTOの方と会話してもらいました。プロダクト開発におけるQCDSのバランス感覚が自分とマッチしていそうなところに好感が持てました。

在籍中に学んだこと

前節が現職のDisりのようになった気もしますが、基本的に良い人たちに恵まれており、その中で学んだことは以下になります。

  • デザイナー、PdMという存在の認識とその関わり方の理解
    前職では縁がなかった、デザイナー、PdMという職能の方と、会話してプロダクト作りを進める経験を積むことができました。彼らとの関わり合いの中で、自分のソフトウェアの開発のスタンスも変わっていった気がします。
    とくに、デザイナーの方とは、1年程度ですがデザイナーチームに入り込んで、フロントエンド改善をする機会がありました。
    その機会の中でフロントエンジニアが気にすること、デザイナーが気にすることのギャップ、そこから協調を目指す働きかけというものを身をもって実施し、その後の状態を体験できたのは良い経験でした。

  • エンジニア教育|メンターへの適正
    新卒の教育を通して、得意、不得意はおいておき、この領域は自分は好きであるということを理解しました。正直、今まで経験があって担当になったわけではなく、担当アサインをされてからキャッチアップしていったため、その年の新卒の方々を人柱にした感覚はあり申し訳なかったなとも思います。「人の理解レベルに合わせて物事を教えるのがあまり得意ではなさそう」というフィードバックをもらえたのはこの時で、意識はできるようにはなったのですが、おそらくいまだに上手くできていません。。

  • 「The Model」への実体験を通した理解
    社内プロダクト開発を担当していた際、SaaSのさまざまなロールの方をお話しする機会を得ました。それまでは点でしか理解していなかったSaaSの業務の流れを線で理解できるようになり、SaaSのプロダクト作りをするときに何を考慮しないといけないのかの全体像イメージが自分の中にできた気がしています。不勉強で業務理解をしていない中年に暖かく(呆れて?)指導頂いた関係者の方には、本当に頭が上がらず、感謝しかないです。

  • アジャイル開発|スクラムへの覚醒
    在籍最後の2年間は、なぜかアジャイル開発|スクラムに覚醒して、アンオフィシャル、オフィシャルに推進していました。
    10年前くらいにかじって知った気になっていたアジャイル開発|スクラムは10年でとても進化していて、自分の不勉強を恥じるのですが、社内コミュニティを作るタイミングと、会社としてスクラムを適用していくタイミングが運良く重なって最大効率でキャッチアップできたのが良かったと思います。
    また、社内コミュニティきっかけで外部のガチ勢とお付き合いが始まったのと、そのガチ勢に感化されて社内にガチ勢が生まれつつある雰囲気にまで持っていくことができて、自分がやれることはやれたかなと思っております。
    社内のアジャイルロビー活動では、拒否反応っぽい雰囲気を感じ。。と悩むことは一瞬あったのですが、「変な奴だと思われようとも、周りを巻き込んでいく」くらいの気持ちでいかないと、組織、文化は変わらないのかなと思い、振り切って小さく推進していた感はあります。
    現職はまだまだ組織アジャイルの適用途中で、いくらでもやれることはあったと思うので、心残りは正直あります。

今後のキャリアプラン

自分の中で、今やれそうなことは2つあってそれは以下になります。

  • 開発プロセス屋として、開発組織のDXに貢献する
  • World Wide Web屋として、Webサイト|Webプロダクトの改善に取り組む

上記の領域のキャッチアップを続けるのと、そこにもう1つ以下を追加できないかなと考えています。

  • 機械学習&AI屋として、プロダクト開発や事業に貢献する

直近1か月は有休消化なので、機械学習のキャッチアップと、最近興味があるシステムコーチングの書籍を呼んだりしようかなと思っています。

最後に

新卒で入社した前職は受託開発でしたが、プロジェクト単位でのつながり?で長く一緒に仕事をしていた人との繋がりでしかなく、企業として好きになったかというとそういうわけではなかった気がしています。

受託開発という働き方に疑問を持って、B2BのSaaSプロダクト事業会社に転職したのですが、企業として好きになる感覚、愛着を持てた気がしました。おそらく事業のSaaSプロダクトが続く限り、そこに集まる人たちの関係性が維持され、その関係性が年月の経過で深くなっていくように思います。
その関係性を捨ててしまうのは名残り惜しいのですが、いざ退職しますとなったタイミングで、「副業やって」みたいな声かけをしてくれる人もいたりして、この関係は緩く維持され続けるのだ!とも思い、少し安心しました。 自分はキャリア都合で現職という船からは降りるのですが、外部から強力に支援できるように修行を積んでこようと思います。 ※支援=副業ではありません。もっと雑な関係性の中で発生するもののイメージです。

転職先では、10年ぶりに受託開発の仕事に戻り、スクラムチームの支援や、SaaSプロダクトの開発チームの支援、開発プロセス改善を担当することになりそうです。正直不安はありますが、自分のカオス耐性と「0→1」フェーズの推進力がどれだけ外部で通用するのかを検証してこようかと思います。

現職の皆様、また、いつの日か一緒に仕事ができれば!アイキャッチ画像は、現職の皆様とキャンプに行った際に、イジられたテントです。私からもお声がけすることもあるかと思いますが、飲み会などがあれば、誘ってください!