SaaSの役割ロールごとのAI Skillについて


最近、個人開発や会社でのツール作りに、obra/superpowers: An agentic skills framework & software development methodology that works. (⭐251k) と、mattpocock/skills: Skills for Real Engineers. Straight from my .claude directory. (⭐164k) を使っています。
superpowersは、/brainstormingから/finishing-a-development-branchまで一連のワークフローで実行されます。心地良く、バイブコーディング的な開発に型を追加してくれる感じがします。
mattpocock/skillsは、superpowersを利用する前段階で活用しています。具体的には、/grill-meやgrill-with-docを使ってAIへのインプット用要求文書を作成したり、ブレインストーミングに利用します。
ただ、どちらも開発エンジニアの文脈が強いと感じていて、SaaSのその他のロールの方が積極的に利用するとは限らないと思っています。 実際、私の現在の仕事でも「開発チームではAI活用が比較的進んでいるのに、PdM側の活用が進んでいない」という状況があり、そのギャップに違和感と少し危機感を覚えています。
他ロールの人たちにAIを使っていってもらうためには、まずエンジニアである自分自身が「その領域のユースケース」を知る必要があり、ある程度の下調べと実際に使ってみることが重要と感じています。
まずそこで今回は、使ってみる前の下調べとして Deep Research を何度か実施しました。GitHubで100以上のStarを獲得している実績あるツールを中心に、ロール別のAI Skillをピックアップしてまとめています。
PdM(プロダクトマネジメント)向け AI Skill
| スキル名 / プラグイン | URL / リポジトリ情報 | 説明 |
|---|---|---|
| Anthropic Product Management Plugin | anthropics/knowledge-work-plugins ⭐22.5k |
Anthropic公式が公開している、ドキュメンテーションや意思決定プロセスを強固にするプラグイン。MoSCoW分析を用いた要件定義(/write-spec)、OKRに紐づいたロードマップ構築(/roadmap-update)、競合分析、ユーザー調査データの集約、ステークホルダーへの進捗報告など、主に6つのコアコマンドを提供します。 |
| Jobs to Be Done Framework / Hooked UX | wondelai/skills ⭐1.5k |
特定のフレームワークに特化した「尖った」スキル。「JTBD Canvas」でユーザーがプロダクトを利用する本当の動機を整理し、「Hooked UX」でNir Eyalのフックモデルに基づいたリテンション・エンゲージメント向上のための仕組みをUI/UX仕様に落とし込みます。 |
| press-release | mohitagw15856/pm-claude-skills ⭐1.1k |
Amazonの開発手法「Working Backwards(逆向きの作業)」を模したスキル。コードを書き始める前に未来の「製品出荷時のプレスリリース」をAIと共に執筆し、プロダクトのビジョンや提供価値を極限までクリアにするために使用します。 |
| PM-Skills | product-on-purpose/pm-skills ⭐453(旧: pm-skills-marketplace) |
プロダクトマネジメントの全ライフサイクルをカバーする、約65種類以上のスキルと36種類のワークフローコマンドを内蔵した巨大なコミュニティ製プラグイン。トリプル・ダイヤモンドやリーンスタートアップの思想が組み込まれており、一連のタスク終了後にAI側から自律的に次の思考フレームワークへと導いてくれるのが特徴です。 |
デザイナー向け AI Skill
| スキル名 / プラグイン | URL / リポジトリ情報 | 説明 |
|---|---|---|
| frontend-design | anthropics/skills ⭐160k(Anthropic公式) |
AI生成UIが似通る問題に対処する公式プラグイン。コード生成前に「目的」「トーン」「制約」「差別化」の4つの軸を強制的に思考させ、ありきたりなフォントの禁止やグラデーションなどのディテール指示を含みます。 |
| ui-ux-pro-max-skill | nextlevelbuilder/ui-ux-pro-max-skill ⭐104k |
AIコーディングアシスタントに詳細なデザインシステム(業界別の配色、タイポグラフィ、アクセシビリティなど)を組み込み、凡庸な「AIっぽいデザイン(AIスロップ)」になるのを防ぐ目的で開発された強力なコミュニティ製スキルです。 |
| theme-factory | ComposioHQ/awesome-codex-skills ⭐14.7k(Composio / Awesome Codex Skills) |
テーマ設計やデザイントークンの管理に特化したスキル。カラーパレット、スペーシングスケール、タイポグラフィのランプなど、再利用可能なトークンやCSS変数のシステムを自動生成し、デザイン全体の整合性を保ちます。 |
| baseline-ui | ibelick/ui-skills ⭐3.6k(UI Skills) |
AIが生成したUIの大枠から「荒削り感」を取り除くためのポリッシュ(磨き上げ)専用スキル。スペーシング、タイポグラフィの細かなバランス、インタラクション状態(hover, focus, activeなど)の調整に特化しています。 |
| fixing-accessibility / accesslint | ibelick/ui-skills ⭐3.6k(UI Skills) |
プロダクション品質として必須となる裏側の品質を担保するスキル。キーボードナビゲーション、スクリーンリーダー対応、適切なARIA属性の付与、WCAG準拠のカラーコントラスト比チェックなど、アクセシビリティのレビューと修正を自動で行います。 |
エンジニア(セキュリティ・DevSecOps)向け AI Skill
| スキル名 / プラグイン | URL / リポジトリ情報 | 説明 |
|---|---|---|
| vibe-security-skill | raroque/vibe-security-skill ⭐842 |
AIコーディングアシスタントが「雰囲気(vibe)」でコードを書く際に発生しがちな、ハードコードされたシークレットや安全でないAPIハンドリングなどの脆弱性パターンを自動キャッチさせるためのスキルです。 |
| secure-agent-playbook | OWASP/secure-agent-playbook ⭐115(OWASP) |
AIエージェントに自律的なセキュリティテスト(依存関係スキャンやプロンプトインジェクションのテストなど)を実行させるためのプレイブック(手順書)を提供します。 |
財務・経理(Finance / Accounting)向け AI Skill
| スキル名 / プラグイン | URL / リポジトリ情報 | 説明 |
|---|---|---|
| anthropics/finance | anthropics/knowledge-work-plugins ⭐22.5k |
Anthropicのファイナンスチームが使用しているスキルセットの一部。請求書データの抽出、支払い条件の解析、ERPシステム連携フォーマット整形など、エンタープライズの財務ワークフローをスケールさせるためのコマンドが含まれます。 |
マーケティング担当者(Marketing / Content Creator)向け AI Skill
SaaS系のマーケティングプラットフォームではありません。ローカルのAIエージェント(Claude CodeやCursor等)に直接組み込んで実行できる、OSSの「AI Skill」および「MCPサーバー」のリストです。
| スキル名 / プラグイン | URL / リポジトリ情報 | 説明 |
|---|---|---|
| marketingskills | coreyhaines31/marketingskills ⭐37.5k |
プロダクトマーケティング、SEO、広告クリエイティブ生成などの実践的なフレームワークをアシスタントに直接組み込んで実行できる巨大なOSSのSkill集。 |
人事・採用担当者(HR / Recruiting)向け AI Skill
採用プロセスの最適化や人事労務のドキュメントを生成する純粋な「AI Skill(プロンプトフレームワーク)」と、HRISやATSと直接連携する「MCPサーバー」のリストです。 ※ HR系のツールを調べて気づいたこととして、「SaaSに溜まっているデータを取り出し、AIがアクセスしやすい状態にする」というデータ抽出・連携型のMCPサーバーが非常に多い傾向があります。
| スキル名 / プラグイン | URL / リポジトリ情報 | 説明 |
|---|---|---|
| Resume-Matcher | srbhr/Resume-Matcher ⭐27.7k |
Pythonベースの強力なAI履歴書解析・マッチングツール。LLMとベクトル検索を用いて、候補者の履歴書と求人票(JD)の適合度を自動でスコアリングします。採用スクリーニング自動化の基盤として世界的に圧倒的な人気を誇ります。 |
| career-ops-plugin | andrew-shwetzer/career-ops-plugin ⭐441 |
キャリア支援や採用業務に特化したプラグイン。ATSに最適化された職務経歴書の生成、求人票の評価、スカウト文面の作成などを行います。 |
| GPTInterviewer | jiatastic/GPTInterviewer ⭐262 |
候補者の履歴書と求人情報を元に、AIが面接官として振る舞うエージェント。面接の自動化や候補者の初期スクリーニングに活用できます。 |
カスタマーサクセス・カスタマーサポート(CS / Support)向け AI Skill
顧客からの問い合わせ対応(チケット処理)やヘルススコアのモニタリングなどを自動化するためのプロンプトフレームワークと、CSツールと連携するMCPサーバーのリストです。
※ CS/Support領域はまだStar数100を超えるものが存在しないため、ここでは基準を下げてStar数10以上の注目ツールをピックアップしています。
また、HR領域と同様に「SaaSに蓄積された顧客対応データをAIに分析・活用させる」というニーズが強そうです。そのため、データ連携型のMCPサーバーが多く存在すると考えられます。
| スキル名 / プラグイン | URL / リポジトリ情報 | 説明 |
|---|---|---|
| claude-cs | nbashaw/claude-cs ⭐91 |
カスタマーサポート向けに特化したClaude用の自動化スキルセット。サポートチケットのトリアージ、顧客のコンテキスト収集、回答文のドラフト作成などをAIに実行させることができます。 |
| help-scout-mcp-server | drewburchfield/help-scout-mcp-server ⭐45 |
ヘルプデスクツール「Help Scout」用のMCPサーバー。AIエージェントが過去の会話履歴やスレッド、受信トレイを検索し、問い合わせへの回答精度を高めることができます。 |
| zendesk-mcp-server | mattcoatsworth/zendesk-mcp-server ⭐28 |
カスタマーサポートツール「Zendesk」の各製品(Support, Guide等)とやり取りするためのMCPサーバー。チケット管理からヘルプセンター記事の検索までカバーします。 |
これからのAI活用と、エンジニアの役割について思っていること
ここまでの調査を踏まえ、実際に自分自身で様々なAIスキルを使っていて感じていることを整理してみます。
1. エンジニア領域におけるAI活用の成功体験(現状)
エンジニアの文脈では、すでに心地よい型ができあがりつつあります。
例えば個人開発では superpowers でアイディアを深掘りし、UI改善では baseline-ui 等の恩恵をダイレクトに受けています。
2. 他ロールへの拡張の壁:ユースケースが想像できない
一方で、今回調べたような「他ロール向け」のスキルを単にインストールしてみても、「具体的にどの業務のどのタイミングで使えばいいのか」というユースケースが、エンジニア単独ではなかなか見えません。
3. 理想は「ゴール設定」、現実は「まず触って価値を体感してもらう」こと
この記事を書くきっかけになった活用のギャップを埋めるためには、まずはエンジニアが環境整備の「イネーブラー(支援者)」になってサポートすることが不可欠に思えました。
CLIツールの操作やMCPサーバーの利用設定は、非エンジニアの方には敷居が高いためです。
本来であれば、「何のためにAIを使うのか」というチームとしてのAI活用のゴール設定をして、各業務担当者と共創しながら進めるのが理想です。 とはいえ、「ゴールが決まるまで動けない」のでは本末転倒です。エフェクチュエーション的な考え方ですが、**「まずは手元の手段としてAIに触れてもらう」**ことが大切です。自分の業務がどう楽になるかを体感し、その後に具体的なゴールを一緒に考えるアプローチが有効だと考えます。
まずはエンジニアが支援者となり、それぞれの業務担当者とペアになって「とりあえずこのツールを使ってみよう」と小さく試す。
そこからタスクの分解と効率化の対象特定を進めていくのが、動きとしては筋が良さそうに思いました。