スクラムの文献でLLM Wikiを作る - 文献の選定

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最近、業務後に趣味でスクラム文献を集めてLLM Wikiを作成しています。
この記事では、文献をどのように集めているのかをまとめておきます。


文献の探し方

個人的に前職時代、スクラムチームの開発者やスクラムマスターの教育をする機会があり、教材用のホワイトペーパーとしてスクラムガイドなどの情報をすでに収集していました。そのため今回もだいたいの見当はついていましたが、あらためて調べていました。
手順としては、以下の要領でGoogle の Geminiのチャットに聞くのと、Deep Researchを併用する形で調べていきました。

雑に文献といっても、いわゆる書籍のようなものと、研究論文があると思っていて、書籍のようなものに関しては以下のように調べていきました。

書籍やホワイトペーパーの探し方.

LLM Wikiは外部公開する予定で考えています。 そのためライセンスは2次利用が可能、翻訳をしたとしても問題がないものを中心に探しています。
検索に利用したGeminiのチャットに履歴を出力してもらいましたが、以下のような手順で探していました。

  1. コア&スケーリングフレームワークの調査:スクラムガイド、LeSS、Nexus、EBMなどの公式ドキュメントにおけるCCライセンス(CC BY-SA)とMarkdown二次利用の可否を網羅的に整理。
  2. 周辺プラクティス・思想の網羅:アジャイル宣言、Modern Agile、Liberating Structures、DORAメトリクス等のライセンス形態と許諾条件を精査。
  3. 実務運用における法的制約の特定:商標権の保護ルール、書籍著作権 などの確認

アジャイル・スクラムの関連の研究論文の探し方

ちょうど探し始めた時期に、「Gemini Spark」 がリリースされたので、Gemini Sparkに以下のようなプロンプトでスプロッドシートへの記録してもらいました。

スプレッドシートに追加されていないスクラム・アジャイルの論文を検索してスプレッドシートに追加して

Gemini Spark は定期実行できるので例えば通次で論文の情報を更新し続けるという使い方もできます。今のところ、ライセンスのファクトチェックが必要なので、思い立ったときに手動実行しています。

スプレッドシートには以下の情報を記録しています。

  • タイトル (name):論文、書籍、公式ガイドなどの名称
  • 著者・出版社・掲載誌 (publisher):著者名、掲載ジャーナル・学会(例: IEEE, MDPI)、出版社、リポジトリ(arXivなど)
  • 発行年・バージョン (version):論文の出版年(例: 2021, 2024)や、ガイドラインのバージョン(例: v3.2)
  • 分野・カテゴリ (category):その文献が扱うテーマ(例: Security, Kanban & Flow など)
  • 引用数:その論文が他の研究からどれくらい引用されているかを示す、学術的な影響力・重要度の指標
  • URL:論文のPDFファイル、ウェブページ、またはDOI(デジタルオブジェクト識別子)へのリンク
  • ライセンス (license):クリエイティブ・コモンズ(CC BY 4.0など)や「All Rights Reserved」といった、文献の著作権や利用条件に関する情報
  • 言語 (language):英語(en)や日本語(ja)などの記述言語
  • フォーマット (format):PDF、HTML、書籍(book)などの媒体形式

スクラム関連の文献のライセンス傾向

文献を調べていくとだいたい以下のような傾向があるとわかりました。
外部公開するLLM Wikiだと、自分自身で記載したコンテンツや、1 に該当するコンテンツを利用するのが良さそうです。

No 分類 代表例 主なライセンス傾向 二次利用・PDFのMarkdown化
1 オープン・コアガイド型 スクラムガイド、Nexus、EBM、Kanban Guide、Scrum@Scale、FAST CC BY-SA 4.0 二次利用しやすい。テキスト抽出や自社用改変・Markdown化が公式に許諾されている。
2 古典マニフェスト型 アジャイルソフトウェア開発宣言、ソフトウェアクラフトマンシップ宣言 独自ライセンス(全文複製・通知必須) 条件付き。「全文維持+著作権通知」が絶対条件。一部抜粋や自社マニュアルへの文言改変はライセンス違反となる可能性がある
3 出版物の二重構造型 LeSS書籍、A Scrum Book (Scrum Patterns)、Scrum Primer 二重構造(本文:著作権保護 / 図版:CC BY-NDなど) 制限あり。本文は無断複製不可、図版は改変禁止(ND)付きが多い。パターンの場合は「10個以内」などの定量的制限が存在する。1
4 独占的エンタープライズ型 SAFe (Scaled Agile Framework) All Rights Reserved + 厳格な商標保護 不可。公式WebからのスクレイピングやMarkdown化、自社リポジトリへの組み込みは原則禁止。

文献例

以下、整理した文献のライセンスの調査結果です。

ファクトチェックは済んでいるので記載しているものに関しては問題ないと思いますが、利用は自己責任でお願いいたします。

文献名 説明 ライセンス URL
Agile Coaching Growth Wheel アジャイルコーチのスキルを評価し、成長を支援するためのコンピテンシーフレームワーク。 CC BY-SA 4.0 https://agilecoachinggrowthwheel.org/wp-content/uploads/2023/06/Agile-Coaching-Growth-Wheel-Version-3.2.pdf
Manifesto for Agile Software Development アジャイルソフトウェア開発における4つの中心的な価値観を定義した公式な宣言文。 Copyright (Permitted to reproduce with notice) https://agilemanifesto.org/iso/ja/manifesto.html
Principles behind the Agile Manifesto アジャイルソフトウェア開発宣言の基盤となっている12の原則をまとめたもの。 Copyright (Permitted to reproduce with notice) https://agilemanifesto.org/iso/ja/principles.html
EBM Guide エビデンスベースドマネジメント(EBM)を用いて、組織が価値を測定し継続的に改善するためのガイド。 CC BY-SA 4.0 https://scrumorg-website-prod.s3.amazonaws.com/drupal/2024-05/2024-EBM-Guide-Japanese-v2.pdf
EBM Guide 2020 エビデンスベースドマネジメント(EBM)ガイドの2020年版。 CC BY-SA 4.0 https://scrumorg-website-prod.s3.amazonaws.com/drupal/2021-02/2020-EBM-Guide-Japanese.pdf
The Flow System Guide 複雑な環境下で価値のフロー(流れ)を最適化し、組織の俊敏性を高めるためのガイド。 CC BY 4.0 https://flowguides.org/admin/files/TFS-Guide-Final-R18-11-2019-ja.pdf
Kanban Guide 2025 カンバンの基本原則、プラクティス、および指標を定義した公式ガイドの2025年版。 CC BY-SA 4.0 https://kanbanguides.org/ja/the-kanban-guide/2025.5/pdf/kanban-guide.v2025.5.ja.pdf
Kanban Guide for Scrum Teams 2021 スクラムチームが既存の枠組みの中でカンバンのプラクティスを導入・活用するためのガイド。 CC BY-SA 4.0 https://scrumorg-website-prod.s3.amazonaws.com/drupal/2021-02/2021-Kanban-Guide-Japanese.pdf
Large-Scale Scrum (LeSS) Framework Principles 大規模なプロダクト開発にスクラムを適用するためのフレームワーク(LeSS)の基本原則。 All Rights Reserved https://less.works/less/framework
Scrum Guide (LeSS Version) 大規模スクラム(LeSS)の観点から補足や調整が加えられたバージョンのスクラムガイド。 CC BY-SA 4.0 https://less.works/jp/less/scrum-guide
Nexus Guide 複数のスクラムチームが単一のプロダクトを開発する際の依存関係を管理するNexusフレームワークのガイド。 CC BY-SA 4.0 https://scrumorg-website-prod.s3.amazonaws.com/drupal/2021-02/2021-Nexus-Guide-Japanese.pdf
Open Guide to Kanban オープンなアプローチに基づき、カンバンの概念と実践方法をまとめたガイド。 CC BY-SA 4.0 https://kanbanguides.org/ja/open-guide-to-kanban/2025.7/pdf/open-guide-to-kanban.ja.pdf
Scrum Glossary スクラムに関連する専門用語や概念の定義をまとめた公式な用語集。 All Rights Reserved https://guntherverheyen.com/wp-content/uploads/2025/02/Scrum-Glossary-Japanese-version-2021.pdf
Scrum Guide 2009 〜 2020 スクラムの定義、役割、イベント、作成物を規定した公式ガイド。(2009年版から2020年版までの各バージョン) CC BY-SA 4.0 (各年代のURLを参照)
Scrum Guide Expansion Pack スクラムガイドを補完し、チームがより効果的に機能するための追加のパターンやプラクティス集。 CC BY-SA 4.0 https://scrumexpansion.org/ja/scrum-guide-expanded/2025.6/pdf/scrum-guide-expansion-pack.ja.pdf
Scrum Guide Reordered スクラムガイドの内容を、トピックやテーマごとに再構成し、文脈を理解しやすくした資料。 CC BY-SA 4.0 https://www.ryuzee.com/contents/blog/images/14578/ScrumGuide-Reordered-ja.pdf
Scrum@Scale Guide 組織全体にスクラムを直線的に拡張し、アジリティをスケールさせるためのフレームワークガイド。 CC BY-SA 4.0 https://raw.githubusercontent.com/scrumatscale/official-guide/master/translations/ja-JP/guide-ja-japanese.pdf

ライセンス観点でドキュメントを見ていて思ったこと、留意点.

  • Scrum.orgのドキュメントは、CC BY-SA 4.0のものと、All Rights Reservedのものがある。
    Scrum Glossary は日本語訳がありますが、All Rights Reserved なので加工したコンテンツなどを再配布するには制限があります。
    Scrum.orgで提供されているホワイトペーパーなどは、基本的にAll Rights Reservedで提供されています。

  • スケーリングスクラム系のドキュメントは団体によってライセンスが異なる。
    LeSSはWebサイトで情報が公開されていますが、サイトの情報はAll Rights Reservedです。
    一部の図表は、CC BY ND で公開されています。Scrum@Scale、NexusはCC BY-SA 4.0で公開されています。

  • 公開する際は、CCライセンスの違いに注意して二次利用する.
    クリエイティブ・コモンズ・ライセンス - Wikipedia に記載がありますが、CCといっても種類があります。
    外部公開して2次加工しつつ、非商用利用を想定する場合、以下のCCライセンスがターゲットになってきます。

    • CC BY
    • CC BY-NC
    • CC BY-SA
    • CC BY-NC-SA

スクラムの文献で作るLLM Wikiの文献の選定についての説明は以上です。

Footnotes

  1. A Scrum Bookに記載あり

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