退職者へのフィードバックのふりかえり


前職退職時に、私自身が同僚・上司からフィードバックをいただくために、退職する時に同僚からフィードバックをもらう - Sexually Knowingを参考にアンケートを実施しました。
退職から1ヶ月経過し、現職での仕事にも多少慣れてきたので、いただいたフィードバックの内容に対しての「ふりかえり」をしたいと思います。
公開に関しては、許可をいただいたもののみ公開していますが、分析の仕方などは共有していないので、仮にこれで不快感を持たれた方はフィードバックいただければこの内容自体の訂正及び、非公開化を予定しています。(まあ、そんなことにはならないだろうな..という思いはあります。)
フィードバックの収集の仕方などの前提情報
「ふりかえり」に関しての前提情報として、個人的に記載しておくべきと思った内容を共有します。
フィードバックの収集方法
- Google Formで退職1週間〜前日にかけて通知
- 通知対象者は、40〜50人程度
- 個別ではなく、Slackのお世話になった人がいそうなチャンネルに通知
設問の内容
Google Formで以下のような設問を設けて収集しました。【】内は回答形式について説明しています。
- 業務上なんらかの形で 〇〇 と関わったことはありますか? 【Yes(開発職)/Yes(開発職以外)/No の選択肢を持つラジオボタン)】
- あなたは 〇〇 と働くことをどのくらい友人や知人に薦めると思いますか?(仮に自分に似た価値観の友人や知人がいたとしてお答えください。)【NPSスコア(推奨度を測る10段階評価)】
- 上記のスコアをつけた理由を教えてください。【設問.2の理由をテキストで回答を求めた】
- どうすればそのスコアはもっと改善すると思いますか?【設問.2の改善施策をテキストで回答を求めた】
- スクラムマスター|エンジニアリングマネージャーとして見た時、 〇〇 の良かった点があれば挙げてください。【テキストで回答を求めた】
- スクラムマスター|エンジニアリングマネージャーとして見た時、 〇〇 の良くなかった/改善すべき点があれば挙げてください。【テキストで回答を求めた】
- 戴いた回答の一部または全部を引用し、ブログなどで外部に公開することを許可しますか? (引用する際には内容から個人を特定できないようにします) 【Yes/Noのラジオボタン】
- よければ、貴方の氏名や連絡先を教えてください。(頂いた感想に対して、お礼とフィードバックを返します。)【テキストで回答を求めた】
必須項目は、1. 2. が必須でその他の項目は、任意項目としました。
フィードバックの内容に影響しそうな情報
別で、Webの寄せ書きサービスでの寄せ書きを書いていただいていて、そこに書いて頂いてる人もいれば、そうではない人もいます。
寄せ書きを書いた|書いていないという状態がフィードバック内容に影響している可能性があります。
なぜフィードバック収集を実施したのか?
自分の記憶する限りは前職はフィードバックに関しての組織的なルールはなく、目標管理や、1on1の中でマネージャーの裁量に任せられていました。その中でフィードバックをもらえば良かったのですが、意識して実施していませんでした。「最後だし、もらっておくか..」という気持ちで収集しました。
退職時のフィードバックのふりかえりの流れ
以下のような流れでふりかえりは実施していきます。
- Google Formと連携しているスプレッドシートをcsv|tsvでエクスポート。
- 「1.」の設問9.のデータを削除して、Jupyter のノートブック上で処理をして、可視化する。
- 実施したのですが、あまりにファイルサイズが大きくなってしまったので、公開記事からは削除してグラフの一部を公開しています。
- テキスト設問回答の分析に生成AIを利用する。
- 個別のテキスト設問回答で気になった箇所に言及する。
- 今後のアクションアイテムを設定する。
- 退職時のフィードバックをもらうプロセス自体のふりかえりもする。
フィードバック内容の分析の結果
「2. 「1.」の設問9.のデータを削除して、Jupyter のノートブック上で処理をして、可視化する。」はファイルサイズの兼ね合いから除外しました。 一部抜粋して、公開します。
関わりに対しての回答の分析
設問、「業務上なんらかの形で 〇〇 と関わったことはありますか?」をヒストグラム化しました。
ほとんどが、開発職(エンジニア)になりました。総回答数が「16」で16名の方からフィードバックを頂きました。
非開発職の方のいるSlackチャンネルには連絡していなかったのですが、連絡しておけば良かった気もしています。
標本サイズ計算ツールと標本サイズを決める際のヒント | SurveyMonkey を確認する限り、前職の社員数を母集団とすると、アンケートのサンプル数としては大分足りないため、統計学的に有意でないことはご留意ください。
あなたは 〇〇 と働くことをどのくらい友人や知人に薦めると思いますか?の回答の分析
設問、「あなたは 〇〇 と働くことをどのくらい友人や知人に薦めると思いますか?」をヒストグラムになります。
推薦スコアの分布としては、平均「8.31」でまあ良かったのではないのかなと思っています。
「1」をつけて頂いた方の回答は冗談ぽかったのが救いで外れ値であると認識しています。
あと、「10」をつけてくれている方が大半ですが、退職時の評価水増し要素はあるかなと考えております。(そこも含めてありがとうございます。)
外部公開許可の回答の分析
設問、「戴いた回答の一部または全部を引用し、ブログなどで外部に公開することを許可しますか?」をヒストグラム化します。
公開はさけて欲しいという方は「0名」でした。ありがとうございます!
スクラムマスター|エンジニアリングマネージャーとして見た時の改善点のワードカウント
アンケートの回答を形態素解析して、ヒストグラム化しました。
評価スコアごとに、3グループに分けています。中評価は回答がなかったので、グラフ表示されていません。
「髪の毛」あたりは、それこそAGA治療を真剣に考えろということだと受け止めました。
「脱線」は複数人から似たフィードバックがあり、そういう傾向があるのだなと自覚しました。
※設問に横断的に、現れている傾向に感じられ今回実施してその辺りを自覚できたのは良かったと思っております。
生成AIでのテキスト設問回答の分析
結構な文章量になったので、プロンプトに入力した内容と、生成AIからの回答を以下のGistに貼り付けました。
興味あれば、ご確認ください。
手動で今回実施しましたが、うまくJyupter Notebookと組み合わせると、半自動化くらいはもっていけそうな気もしております。
退職者へのフィードバックの各設問に対しての生成AIによる解釈
個別のテキスト設問回答で気になった箇所
以下、回答頂いた内容で特に気になった箇所について言及します。
【空気を感じ取った上で、空気を無視した発言をしてくれる貴重な存在】
これは、別でシステムコーチの方にも同様のニュアンスのフィードバックを頂き、そういう面があるのかと気がつきました。
狙ってあえてやっているケースと、天然で無自覚に発動するケースがあると個人的には思っています。
【目指すアウトプット(モノや状態)のイメージが違う、ゴールに向かうプロセスのイメージも違うため、同じチームだと双方が多少のやり難さを感じそう. お互いに一定のこだわりがあるタイプだと思っているため、同じチームで足並み揃えての働き方であれば「薦めない」寄り(混ぜるな危険)、別のチームで時々フォローしあえる関係であれば「薦める」寄りで、間を取って6とした。】
このフィードバックを見た時に、「では、具体的にどう改善したら良いのだろう?」は思ったのですが、現状は以下がアクションアイテムかなと考えています。(生成AIが示唆してくれた回答の抜粋)
- 目標達成までのプロセスや、アウトプットのイメージについて、図や表などを用いて視覚的に共有する。
- 定期的に1on1ミーティングを実施し、業務上の課題や悩みを共有するだけでなく、お互いの価値観や仕事に対する考え方について理解を深める。
- お互いの仕事に対する価値観や優先順位について話し合い、共通の認識を持つように努める。
このフィードバックを頂いて、「対話の機会が足りていなかった」「対話というツールにも気がついていなかった」と感じました。
上司、部下との対話だけでなく、同僚として対話の機会を意識的に持つのは必要で、それはこれから留意していきたいと思います。
【消化に専念したいPBIのリファインメント長期的な改善・機能の部分の話になり、PBIで対応すべきはどこまでなのかの調整に苦労した覚えがある】
【SMやEMとしての振る舞いは良かったのだと感じてます。時折、本筋から脱線する傾向が見られるので、その点だけ気にはなっていました。】
【相手の知識・興味関心の幅に合わせて出す情報を制限できるとストライクゾーンが広がる気がしました】
【自分の興味や関心のあることを話したくなり、たまに議論から脱線してしまうこと】
【話が長いねー】
コミュニケーションに対するフィードバックです。設問は違いますが、設問を横断して言及されているので、改善したほうが良い点として認識しました。
このあたりは、まず知識から詰め込んで、その知識ベースで行動できるように訓練するというのが良さそうに思いますので、
- 端的に話すということはどういうことか?
- 場の欲する情報を提供するにはどうしたら良いのか? あたりの問いから、書籍やPodcast、動画などでキャッチアップしていければと思います。
【メンバーの得意領域の更なるスキルアップの教育が弱いように見えたこと】
在職中に、「あなたはティーチングはできるけど、コーチングができていないよね」というフィードバックをもらったことがありますが、その辺りと関連するフィードバックに思いました。
確かに自分の下位互換のメンバーを教育するという経験は多くあった気がしますが、「得意領域が異なるメンバーや、自分よりも技術スキルが上のメンバーを育てるにはどうしたら良いのかわからない」というのが現状の状況なので、このあたりのキャッチアップも必要に思いました。
やはり自分は書籍などでナレッジを詰め込んでから、行動するタイプなのでまずは関連領域の書籍を読むというところからはじめたいと思います。
【リーダーシップが不足していた点(チーム状況を見ず、理想で行動していた)】
これは上司からのフィードバックになります。
これは自覚はあり、意識してリーダーシップをとらないようにしていた部分と、リーダーシップとった結果、チームに悪い影響を与えるのではという恐れもありました。
エラスティックリーダーシップ - O'Reilly Japanでいうところのサバイバルモード、学習モード、自己組織化モードのモード切り替えが適切ではなかったのだと感じています。今後は、モード切り替えのための観測事象を明確にしておくことと、その事象のすり合わせを今後していくようにしようと思いました。
今後のアクションアイテムについて
以下、生成AIにまとめてもらった今後のアクションアイテムになります。
※それはないだろというものは除外しました。
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1. コミュニケーションスキルの改善
- コミュニケーション関連の書籍・Podcastを月1冊学習する
- 会議前に「この場で提供すべき情報」をメモする習慣をつける
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2. チームメンバーとの対話強化
- 同僚との1on1ミーティングを月1回設定する
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3. コーチングスキルの向上
- コーチング関連の専門書を1冊読破する
- コーチングの実践機会を月1回確保する
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4. 状況に応じたリーダーシップの発揮
- チーム状態の観測指標を明確化したチェックリストを作成する
- 月次で自身のリーダーシップスタイルを振り返る時間を確保する
退職時のフィードバックをもらうプロセス自体のふりかえり
以下、プラス「+」&デルタ「▼」で退職時のフィードバックのプロセスをふりかえります。
プラス「+」
- 「+」フィードバックをもらったことで、自身の良い点、改善すべき点が客観的な目線で把握できた。
- 「+」アンケートに対してのデータ解析をして、久しぶりにJupyter Notebook に触ったのは楽しかった。
- 「+」GitHub CopilotのJupyter Notebook 向けのスクリプト生成は精度が高い気がする。(ほぼ1撃で動く)
- 「+」GitHub Copilotのモデル Claude 3.7 Sonnet Thinking (Preview) は文章の扱いが得意ということを実感できた。
- 「+」異なる視点でフィードバック情報を見るため、日常実施している「ふりかえり」と異なる洞察が得られる。
デルタ「▼」
- 「▼」はじめてということもあり、アンケート解析+生成AIに分析させるという一連の手順にそれなりに時間がかかった。
- 「▼」フィードバックの依頼を退職日前日ではなく、もう少し前のタイミングから進めるべきだった。※データ量が統計的に信頼性がおける量にならなかった
- 「▼」自分の改善点と向き合うことになるので、バイオリズム的にできるタイミング、できないタイミングがありそう。
- 「▼」集まったデータ量=自分の人望 という可能性もあり、モヤモヤする。
- 「▼」Jupyter Notebookのサイズの問題で公開に苦労した。
アクションアイテム
- 退職時でなくても、年1回くらいフィードバックを取集すると学びがありそう。
- 分析にそれなりの時間がかかるので、もう少し自動化したい。
最後に
かなり長めの記事になった気がします。フィードバックをくれた方々どうもありがとうございました! まだフィードバックフォームはオープンにしていますので、未入力の方もこれから入力して頂けると、ワタシの糧になりますので気が向いたらよろしくお願いいたします!